サンマとキノコの煮物
- 9
- September
2025
いつの間にかサンマは高級魚というイメージですが、今年は今のところ豊漁とのことで、庶民のサンマが戻ってくる年になるかもしれませんね。
今回紹介するのはサンマの煮物です。いろいろな食材を加えて煮物にすると、一品で栄養バランス満点になります。冷めてもおいしいので、お弁当のおかずにもぴったりです。
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秋の味覚を代表するサンマの季節が到来しました。大型船による本格的なサンマ漁は、毎年8月の解禁。集魚灯を装備した何隻もの船が出航し、「棒受け網漁」という漁法でサンマを取ると港に戻って水揚げします。
サンマ船の出入港として有名なのが北海道根室市の花咲(はなさき)港。例年、多くのマスコミが現地を取材し、その年のサンマの動向を報道します。ここ数年はもっぱら不漁・小型・高価という悲報が続きました。でも今年は久しぶりの朗報です!8月15日、花咲港に昨年の2.6倍に当たる173トンが初水揚げされ、サイズもここ10年では最大の130グラムでした。走りとしては脂も乗っており、好調の出だし。今秋のサンマに期待が高まっています。
サンマは冷たい水を好むため、海水温が上昇した今は日本の沿岸になかなか寄り付きません。ロシア海域近くにいるので、以前は港と漁場を1~2日で往復していたのが、最近は3~5日と長期化しています。かといって大量に取れる保証はないのがつらいところ。20年前に約20万トンだった漁獲量は近年、その10分の1にまで減少しています。
サンマを大量に漁獲できる棒受け網漁には戦後の食糧不足を助けてきた歴史もあり、サンマは日本人にとって特に大切な魚の一つ。多くの時間と燃料をかけて遠方の漁場と港を行き来する漁師さんを思うと、おいしく、残さず食べて、感謝の意を表したくなりますね。
サンマは焼き物が主流ですが、煮物や揚げ物にしても美味。今回のととレシピは、小松菜とエリンギがサンマのうま味をふんわりと包み込んだやさしい味わい。焼いた時には気づかないコク味も感じられます。滋味深く、心まで満たされる大人の味をぜひ、ご賞味ください。
豊漁期には、家庭用コンロだと丸々1匹焼けないほどの特大サンマ(250グラム)も取れたといいます。そんな日が再び訪れることを願いつつ、多くの人に旬のサンマを何度も味わっていただける秋になるとうれしく思います。