お魚をおいしく食べるコツ Konomi Hama's Fish recipes

File 006道具選びで差がつく、お魚料理の話

  • 「筆を選ばず」…ではないのです

    「弘法筆を選ばず」ということわざがありますね。書の達人、空海(弘法大師)にたとえて、「真に才能のある人は道具の良し悪しにかかわらず、ものごとを上手にこなす」という意味ですが、魚料理に関しては、道具選びは重要なポイント。名人ほど道具にうるさいとさえいわれます。
    特に包丁には気を配りたいもの。包丁の切れ味が鮮魚の味を大きく左右するからです。また、道具を常に清潔にし、包丁の刃をよく研ぐなど手入れを怠らないことが、魚料理の腕を上げる基本です。

  • 刺身には刺身包丁

    刺身をつくるのに欠かせないのが刺身包丁。家庭にもぜひ1本は備えておきたい道具です。
    刺身包丁は一般に片面にだけ刃付けがされており、薄造りを美しく仕上げ、サクをなめらかに切り分けるなど、専門道具ならではの手応えと仕上がり、そして味わいを実感できます。フレンチの厨房などでも、ローストビーフを切り分けるとき、繊細さを大切にするために、あえて刺身包丁を使うシェフがいるそうです。

  • 家庭では重宝な柳刃

    よく「柳刃(やなぎば)」という名前を聞きますが、これは刃の部分が柳の葉のように細いことからの命名。関西の伝統的な刺身包丁だそうですが、昨今は刺身包丁の代名詞のように使われています。板前さんなどが使う本職用の刺身包丁には、先が四角い「蛸(たこ)引き」や、ふぐの薄造り用に調整した「ふぐ引き」と呼ばれるものもあります。
    刺身包丁を家庭で購入する場合は、刃渡りが短めで使いこなしやすく、持ち手と刃のつなぎ目が丈夫で手入れをしやすい柳刃を選ぶといいでしょう。

  • 固いものには出刃包丁

    適度な重みがあって鋭く切れる出刃(でば)包丁は、魚料理に必要不可欠な道具の代表格。包丁自体の重さを利用して振り下ろし、魚を骨ごと叩き切ったり、頭を落としたり、魚の固い部分を切るのに便利です。またうろこ取りや魚を三枚におろすのにも重宝します。
    刃渡り10センチ程度から20センチ強まで、大小さまざまなサイズが市販されているので、調理する魚のサイズに合わせて使い分けるといいでしょう。

  • 用途万能な三徳包丁

    文化包丁、万能包丁とも呼ばれ、野菜、肉、魚なんでもOKの便利な包丁です。たいていのご家庭で、この包丁が日常的に活躍しているはず。手になじんで使い勝手がよいものを1本持っていれば、ほとんどの魚料理をこなせます。
    献立に合わせて、刺身包丁、出刃包丁、三徳包丁をうまく使いこなせれば、かなりの「おさかな上手」といえそうです。

  • 手入れをしてこその名器

    どんなに高級な包丁を手に入れても、手入れを怠っては、その真価が発揮されません。昔は家庭で普通に行われていた「包丁研ぎ」が、今は“特殊な技術を必要とするむずかしいこと”のように考えられているのは残念です。
    とはいえ、砥石を使った昔ながらの研ぎ方で包丁の手入れをするには、慣れや経験が必要なのは事実。忙しい人やめんどくさがり屋さんには、セラミックやスチールが砥石部にセットされた包丁研ぎ器が便利です。

  • まな板の清潔さがうまさを生む

    魚の調理は、まな板にニオイがついてイヤ、という声をよく聞きます。魚を切ったらすぐにまな板を洗い、清潔に保つことが、食中毒の防止だけでなく、おいしさを生み出すのだということをお忘れなく。抗菌タイプのまな板といえども、こまめに洗浄しなくては抗菌しきれるものではありません。
    きれいに洗った牛乳パックを切り開き、内側を上にしてまな板に広げ、その上で魚を切れば、まな板に直接魚の成分やニオイがつくことがないし、後の処分もラクなのでおすすめです。

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