お魚をおいしく食べるコツ Konomi Hama's Fish recipes

File 012食卓の彩りと栄養について(魚介類篇)

  • 5色をバランスよく

    「医食同源」を基本とする「薬膳」では、「旬の素材を利用すること」「献立に赤・青・黄・白・黒」の5食の食べ物をバランスよく取り入れることを重視します。
    これは薬膳であるなしにかかわらず、日頃の食事や調理の際にも、ぜひ意識したいこと。野菜も魚も旬に最も栄養価が高く生命力に満ちているから、食べることがそのまま活力の素になりますし、食卓の彩りが豊富だと、気持ちが明るくなって食欲増進にもつながります。さらに薬膳や漢方の世界では、5つの彩りのそれぞれが内臓の働きと密接な関係を持っていると考えられています。
    【赤…〈心〉】 心臓を司り、血管系、小腸の健康と関連あり
    【青…〈肝〉】 肝機能や血流を司り、運動神経や身体の抵抗力と関連あり
    【黄…〈脾〉】 脾臓を司り、胃の健康や消化、解毒、駆虫と関連あり
    【白…〈肺〉】 呼吸器系、消化器系を司り、精神面の元気や大腸の働きとも関連あり
    【黒…〈腎〉】 腎臓を司り、体内の水分の調節や生殖能力と関連あり
    どこかが弱っているから、その色を多く摂るというのではなく、5色の献立をバランスよく食べることが、健康な身体をつくる上で大事と考えられています。

  • おせちは優秀

    正月の行事食「おせち」は、1年の大きな節目である年始を祝い、1年の健康を祈っていただくおめでたい料理です。近年は、好みの食材だけをバイキングのように集めて重箱に詰める“お好みおせち”や、現代人の食生活を反映した洋風おせち、中華おせちなどが好まれる傾向にあるようですが、「食育」の観点から、伝統的なおせち料理の優秀さに改めて注目する人々も増えています。
    ご存じのように、伝統的なおせち料理の中身は、豆が「まめに(健康に、元気に)過ごす」、数の子が「子孫繁栄」、きんとんが「金と富」、昆布巻きが「よろこぶ」といった具合に、語呂合わせや意味合わせによって1年の健康や幸せを祈る、縁起のよい料理ばかり。それだけでも気持ちの上で元気になりそうですが、実は、彩りもしっかり「赤・青・黄・白・黒」の5色が配置されるようになっているのです。昔の人の知恵には脱帽させられます。

  • 白身の魚で迎えるお正月

    おせち料理に欠かせない蒲鉾は、白身の魚を材料とした練り物。また甘鯛の西京漬、サワラの幽庵焼きといった、一の重に欠かせない焼き物も、「白」の部類といえそうです。
    すがすがしさを表す白は、新年の彩りにもふさわしく、ぜひお正月に口に入れたいものです。
    栄養学的に見ても、白身の魚は高タンパク質で低カロリー。お正月太りを回避する上でも効果的な食材です。

  • 赤い魚介類に注目

    おめでたいエビやイクラ、カニコ(カニの子)など、おせち料理に華やぎを添える赤い魚介類は、強い生命力を養う縁起物としても、鋭気を養う「赤」の食材としても、ぜひ食しておきたいもの。薬膳の世界では「赤」は「心」の働きと関わりを持ち、大脳の活性化を高める食材と考えられているそうです。
    また、赤い魚介類に含まれるアスタキサンチンという成分が、生活習慣病の予防を助けるという研究も進んでいます。地方によって年越しや正月の魚として食べられているサケも、アスタキサンチンを多量に含んでいます。「赤」の食材として注目する価値は大きそうです。

  • 黄色い数の子で運も上昇?

    「黄」の魚介類は少ないのですが、おせち料理では数の子が大活躍。風水では、黄色は金運を司る色とされ、縁起物としてのイメージが強いですね。
    でも実は、栄養面でも優等生。血液の流れをよくするEPA(エイコサペンタエン酸)や、脳の働きを活性化させるDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれているため、脳梗塞や生活習慣病が気になる方には、注目してほしい食品です。ただし十分に塩抜きすることを忘れずに。

  • 背青魚が健康と福を招く

    ごまめは漢字では「五万米」。カタクチイワシの幼魚を素干しにしたもので、地方によっては稲作の肥料にしていたようです。「五万米」という名の由来もそこにあり、炒って味付けした料理を「田作り」と呼ばれるのも、そのため。五穀豊穣と子孫繁栄への感謝と祈願を込めて、おせち料理の一の重に入れる習慣があります。
    見た目は青ではありませんが、元はれっきとした背青魚。血液をさらさらにし、脳を活性化させる点では、まさに「青」の役割を果たすといえそうです。カルシウムが多い点にも注目です。

  • 昆布でめでたく喜ぶ

    おせち料理には、黒豆、ゴボウ、シイタケなど、黒い料理が意外にたくさん入っています。昆布巻きや子持ち昆布などの昆布は、その代表といってもいいかもしれません。
    「黒」の食品は、味わい深いものが多く、いずれも大人好みする味という点が特徴といえそうです。身体全体の活力と関連が深い「黒」。「喜ぶ」と語呂合わせもめでたい昆布を食べて、新年早々幸せと健康を手に入れてみてはいかがでしょうか。

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